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2012年6月 1日 (金)

海馬を圧迫するくも膜のう胞のMRI診断

拙著「脳は自分で育てられる」(第一章MRI画像で分かる脳の詳細)からの一節を引用します。

自覚症状のない脳の病気
 筆者が医学部を卒業した一九八七年頃から、MRI脳画像が実際の臨床現場で
応用される頻度が高くなってきました。この時代に育った医師たちは、
精度の高いMRIによって脳診断することが常識になっていきました。

MRIが臨床現場で汎用されるようになると、被験者に症状がまったくないにもかかわらず、
偶然に脳の病気が見つかるようになってきました。
(中略)
医師は、その教育課程で、患者の症状をよく見て診断と治療をするように教育されます。
しかし脳に関しては、それだけは必ずしも十分ではありません。
脳の病気は必ずしも、すべて外見や自覚症状として表れるわけではないからです。」

上記の代表的な脳疾患の一つがくも膜のう胞です。

そこで、私は、なぜくも膜のう胞は、自覚症状がないのか?
本当に、医師が診察しても、IQ検査や認知力検査をしても、
他覚症状がないのだろうか?

もしかして、教育的に見たら学習困難、学習障害を引き起こしていないのか? 
大人になって、アスペルガー症候群を呈していないのか?
職場で問題を起こしていないのか?
などに注目して研究を進めてきました。

Photo

上記のMRI脳画像は、側頭葉の先端部分から非交通性のくも膜のう胞が
側頭葉を後方に圧迫している様子を示しています。

くも膜のう胞のない対側の海馬と比較すると
感情やコミュニケーションに関わるとされる扁桃体を上方に屈曲させて、
海馬の頭部も変形させていることが明らかです。

脳が高い脳圧で圧迫させられることで、その部分の活動が低下するだけでなく、
脳の成長が慢性的に遅れます。

このように側頭葉にあるくも膜のう胞は、
成長過程で二次的に「海馬回旋遅滞」を引き起こす原因にもなります。

脳番地の成長の遅れはいずれ個性となって表れます。

性格や個性を自覚するないは本人次第ですが、
様々な認知心理学の検査法は、
性格や個性を問題への解答の仕方で推測しようと試みてきました。

さらに、現在ではMRIで脳を撮影することで人の脳個性や脳習慣は鑑別できます。

MRIによる海馬回旋遅滞のMRI検査や脳個性の鑑定サイト

*追加 くも膜のう胞に関するブログ記事「発達障害を引き起こすくも膜のう胞

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