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2011年12月27日 (火)

お正月のお楽しみ!脳を育てる「かるた」登場!

【第16号】脳スクールタイムズ~お正月のお楽しみ!脳を育てる「かるた」登場!~

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  脳スクールタイムズ ~60秒の脳科学~
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  THE NOUSCHOOL TIMES
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┏【第16号】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2011/12/27┓

 【1】今月の特集
    ~お正月のお楽しみ!脳を育てる「かるた」登場!~
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 【2】Dr.KATOの週刊エピソード
             ~脳が成長する勉強法とは?~
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 【3】お知らせ 

  1.12月11日の脳の健康医療セミナー 写真付き詳細レポート

  2. 12月30日 Dr.Kato日本テレビ夜9時から脳科学解説出演

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      脳 の 健 康 医 療 セ ミ ナ ー 2011
    ───────────────────────────
      大変活気のあるセミナーになりました!
      ご参加の皆さま、誠にありがとうございました!
    
   ┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 
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┃1┃ 今日の特集~お正月のお楽しみ!脳を育てる「かるた」登場!~
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 クリスマスが去り、来週は2012年の幕開け。
 いよいよ2011年の年の瀬が迫ってきました。

 今日は、お正月、家族みんなで楽しめる、脳を育てる「かるた」をご紹介します! 

 
 ■■■ 触って、見て、脳に刺激がいっぱい! ■■■

 「りったい!やわらか!かるた動物園」(株式会社メガハウス)は、
 Dr.KATOが監修した“立体かるた”。

 対象年齢3歳以上ですが、脳科学的に見れば、
 2歳からでも十分あそべるオモチャです。

 こだわり抜いたウレタン素材の「動物たち」(全44個)で遊ぶ
 とても触り心地のいいオモチャです。
 
 やわらか動物に触れたり、耳で聞いたり、絵柄や文字を見て遊びながら
 学べる、知育ゲームとして、ぜひ幼児の育脳に役立てていただきたいと
 思います。

 かるた遊びを基本にパズル、ブロック、図鑑、といった色々なあそびが
 可能なので、子どもの発育には欠かせない要素が盛りだくさんです。

 小児科医の専門性を生かして、
 Dr.KATOがおもちゃの効果を脳科学の観点から解説。
 
 遊ぶ事により、いろいろな脳番地を刺激し、育てることができる
 触って学ぶタイプのおもちゃです。

 小学校入学前のお子さんには、まさに「脳の基礎体力」をつけてくれる
 遊びができますし、大人でも、日頃つかっていない脳番地を刺激します。

 ■■■ 遊び方によって、使う脳番地が違う! ■■■
 
 1.カタチぬきあそび・・・・・・・運動系、視覚系が育つ!

   ウレタンブロックのプレートから、動物を抜き出したり、
   ハメてみたり。指先をよく使い、形をよく見る脳番地を
   楽しく刺激します。

 2.色分け遊び・・・・・・・・・・視覚系、理解系が育つ!
 
   動物たちの色は全5色。同じ色の動物に分ける遊びは、
   視覚系と理解系を結ぶ大切な知育のステップです。

 3.カタチあわせ遊び・・・・・・・思考系、運動系、視覚系が育つ!

   ジャングルシートをひろげて、同じ形の動物を探してみたり、
   自分だけのジャングルを思い描いて、動物たちを配置する遊びは
   子どもの創造性を養います。

 4.カタチあてあそび・・・・・・・感覚系、感情系、記憶系が育つ!

   ボックスの中に手を入れて、かるたカードに描いてある形と
   同じ動物を手探りだけで当てる。
   脳の働きとしてはとても大事な機能で、この遊びは大人でも
   ぜひ挑戦して欲しい遊びです。家族で勝負してみましょう。

 5.つみあげ遊び・・・・・・・・・運動系、理解系、視覚系が育つ!

   しっかりとしたウレタンブロックの動物たちは、高く積み上げて
   遊ぶこともできます。手先の器用さや、バランス感覚を養います。
   脳の学校の調査では、大人でも子どもでも。無作為にボックスから
   取り出した動物を縦一列に10個以上積み上げられたら神業!   

 6.かるた遊び・・・・・・言語系、聴覚系、理解系、記憶系が育つ!

   かるたカードを読み上げてもらい、何の動物の説明かどうかを推理し、
   これだ!と思った動物を取る、かるたのような遊び。
   初めてのひらがなのお勉強や、言葉を聞いて考えるという学力の
   基礎となる脳の働きをバッチリ習得するのに最適です。

 こんなに幅広い遊びができるので、幼稚園に入ってから卒園するまで
 ずーっと遊べる、長く付き合えるおもちゃです。

 最近は小型ゲームなど、狭い視野で、人が作ったルールの中だけで遊び、
 特定の脳番地しか使っていない子どもが増えています。

 そしていざ脳を広く使わなければならない大学生、社会人になったとき
 脳を思うように使えず、年齢相当の学力や人間力が十分に育っていません。

 しかし幼児期から脳を広く使うことに慣れ、楽しさを感じることができれば
 小学校、中学校になっても、脳を使うことを「面倒くさい」などと思わず、
 前に向かう意識で進んでいく強い脳を持つことができるはず。

 お正月間近、ぜひともこのエコなおもちゃ“立体かるた”で、
 家族みんなで脳を育てて欲しいと思います!

Photo

┏◆発売開始!「りったい!やわらか!かるた動物園」◆━━━━━━━━━┓

┃「りったい!やわらか!かるた動物園」(株式会社メガハウス) 3,150円

┃【セット内容】立体動物×44個、かるたカード×45枚、ジャングルシート

┃ 全国の玩具屋さん、アマゾンなどで発売開始!
┃ http://www.megahouse.co.jp/megatoy/products/item/788/

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┃2┃ Dr.KATOの週刊エピソード ~脳が成長する勉強法とは?~
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 先週は、青山で「親子で学ぶ脳力全開のコツ」と題して講演をしました。
 その中で話した内容の一部を紹介します。

 まず、脳力全開”のための親子の心得は、

 1.長期の目的を持つことで、脳に情報が入りやすくなる!
   なぜ受験するのか、合格の先の目的を書いておこう!

 2.脳が成長するためには、大変な事でも楽しくやることが効果的!

 3.あなたの脳は「世界に1つだけの花」である

 4.自分の脳の個性や特徴を知ってオーダーメイドの勉強法を持つ!
  
 です。脳力の全開を目指して、学んだり、遊んだりすることは、
 「脳が成長する勉強法」につながります。
  
 受験勉強だけでなく、自分の脳が成長するように、学んでいくことが
 大切です。

 脳が成長していれば、必ず目標に一歩でも二歩でも近づいています。

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┃3┃ お知らせ
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   12月30日 Dr.Kato日本テレビ夜9時から脳科学解説出演

   「日本NO・1の頭脳王! 大決定戦!」(午後9時から11時)
   「日本No.1の頭脳王!大決定戦!!~Top of the Intelligence~」
    http://www.ytv.co.jp/nenmatsu1112/?yearId=2011&key=p185

  
┏◆好評受付中!『SRI脳診断会+脳番地トレーニング入門』◆━━━━━┓

┃ SRIであなたの前頭葉のバランスを診断しましょう。
┃ 脳番地トレーニング入門(実習)がついた講座です♪

┃ ●日付:2012年2月18日(土) 13:00開始(12:30開場)
┃     
┃ ●会場:目黒アイオス2階(東京 JR目黒駅より徒歩1分)

┃ 【詳細】http://www.nonogakko.com/information/sri_d.html
┃ 【お申込】https://www.nonogakko.com/autores/appli_sri_g.html

┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

┏◆脳科学入門! 『脳科学の基本講義シリーズ(テキスト)』◆━━━━━┓

┃ 脳科学講座で使われているテキストをお買い求めいただけます。
┃  このテキストを通じて、脳と向き合う基本的技術を身につけることが
┃ できます。脳を理解することで、皆様の専門分野を一層発展させて
┃ いただくことを主眼に、編集されました。

┃ (税込7350円)
┃ 【お申込】https://www.nonogakko.com/autores/appli_book.html
┗━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛
 

┏◆脳科学の研究入門編! 『脳発達障害の病理学(DVD 50分付き)』◆━━━┓

┃    第1部では、最近話題の発達障害の研究を進め、論文を執筆する上で
┃  大切なことを、わかりやすく、加藤俊徳博士との対談形式で掲載しています。
┃ 
┃  第1部発達障害の病理学を修めるための道標
┃    第1章論文を上手に書く方法
┃    第2章研究の方向性を決める方法
┃    第3章病理所見を得る顕微鏡の見方
┃    第4章脳への好奇心・探究心
┃    第5章研究テーマの継続は重要
┃  
┃ 第2部では、普段聴講する機会のない高嶋先生のご講演を、病理標本を含む
┃ カラー図表54点と共に忠実に再現しており、脳発達障害の病理学の骨子を
┃ 知ることができます。講演を収録したDVDと合わせてご活用下さい。 
┃ 講師 高嶋幸男、
┃ (税込5250円)
┃ 【お申込】http://www.nonogakko.com/media/new.html
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2011年12月 7日 (水)

脳科学のブレイクスルーが健康医療にもたらす意義

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  脳スクールタイムズ ~60秒の脳科学~
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  THE NOUSCHOOL TIMES
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┏【第15号】━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 2011/12/7┓

  今日の特集 ~脳科学のブレイクスルーが健康医療にもたらす意義~

    脳科学がくれたもの
    脳機能NIRSのブレイクスルーが健康医療にもたらす意義
         1. 今世紀、なぜ脳科学なのか
     2.“加藤博士以前の脳科学”とは
     3. 個人レベルの脳に対応する加藤博士の脳科学業績
     4. MRIによる脳の形態診断とCOEの普及が社会にもたらす影響
       1) 福祉支援脳機能検査の普及
       2) 教育支援現場での活用
              3) カウンセリングにおよぼす影響
              4)「健康寿命を延ばすアンチエイジング」から
               「個人の能力を伸ばすアンチエイジング」へ
              5) 脳データから問われる社会改革

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     脳 の 健 康 医 療 セ ミ ナ ー 満員御礼!
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    2011年12月11日(日)会場:アルカディア市ヶ谷
    いよいよ今週末開催! お陰様で満員となりました。

          ▽▽ 詳細情報はこちら ▽▽
     http://www.nonogakko.com/research/brf2011a.html
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┃1┃ 今日の特集~脳科学のブレイクスルーが健康医療にもたらす意義~
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 いよいよ今週末に迫った「脳の健康医療セミナー」。
 おかげさまで満席のご予約をいただき、
 皆様の期待が高まり、すでに熱気ムンムン!?の予感がしております。
 
 
 ■■■ 脳科学がくれたもの ■■■

 今年も師走に入り、2011年も残すところ20日あまりとなりました。
 年に1回の研究会を数日後に控え、2012年を迎えようとしている中、
 2011年の脳科学の“姿”について考えてみましょう。

 本日は、脳の健康医療セミナーの目玉の1つである
 「脳機能NIRS誕生 20周年記念講演」の座長をつとめられます遠藤明先生の
 ご抄録を紹介したいと思います。

 医師としても人間としても魅力のある遠藤先生ですが、
 少林寺拳法や重量挙げの経歴もお持ちで、
 ご専門の小児科だけでなく、スポーツ医学や食事療法、身体の健康医療まで
 大変幅広い見識をお持ちです。

 セミナーではセッションⅠ~Ⅱの座長総括として
 「脳科学が健康医療にどのようなブレイクスルーをもたらすのか」
 について遠藤先生にお話しいただきます。
 
 脳科学が医療にどういう変化をもたらすのか、どんな意義があるのか、
 斬新な切り口で綴られたご抄録をぜひお読みください。

 
 ■■■ 脳機能NIRSのブレイクスルーが健康医療にもたらす意義 ■■■

 1. 今世紀、なぜ脳科学なのか

  人類の寿命は18世紀の産業革命以後に急速に延長し、特に日本は半世紀前
 には考えられなかったような世界有数の長寿国になりました。さらに現代
 では価値観、人生観が多様化して人生の規範を自分の外側にではなく内側
 に求める必要性が増してきました。このように多彩な価値観にみちた超高
 齢社会において満足できる一生をおくるために、日常生活に不自由のない
 健康な身体を維持する方法、いっそう自己実現をはかるために個別に特性
 を知り、かつ生かす方法などが求められるようになりました。
  特に自分の精神と行動の特徴を科学的にとらえ、適切な方向づけが可能
 な方法論が希求されるに至ったことは長寿社会における歴史的必然といえ
 ます。

 2.“加藤博士以前の脳科学”とは

  これまで中枢神経の形態診断として世界中でCTスキャンとMRIが用いられ、
 主に脳卒中と脳腫瘍の診断と治療効果の確認などの手段としてたいへんに
 大きな功績がありました。しかし、これらの器機によって「脳に障害のあ
 る人の残存している脳機能ル-トを探り、正しいトレ-ニング方法を提供
 する」という発想も技術もありませんでした。
  脳機能や発達障害の段階を確定させる検査といえば心理発達検査以外に
 なく、教育効果の評価も困難です。特に重症の障害者において生命維持管
 理が重視され、臨床症状から得られる情報は評価者の五感で把握しうる範
 囲に限られているのが現状です。
  巷では脳に異常のない健常人を対象として脳ドリルや脳トレ-ニングゲ-
 ムが流行していますが、これらは脳を漠然ととらえ、脳全体を鍛えて老化
 を防止することを目的としたもので脳の番地に特化したトレ-ニング方法
 ではありません。個別に脳機能を読みとり、個人の特性にあわせた情報を
 提供する技術は存在していませんでした。
  また、脳の機能を診断するための陽電子断層撮影法 (以後PET)は放射性
 被爆を伴うことで汎用されにくいだけでなく、脳活動に伴う二次的な血流
 変化を反映するために脳機能を正確に判定しているとは言えません。
  同様に機能的MRI(以下fMRI)も脳外の血流の変化を強く大きく反映するた
 め脳機能の正確な測定は困難でした。

 3. 個人レベルの脳に対応する加藤博士の脳科学業績

  加藤博士は1991年に近赤外光を頭皮上から照射して脳機能反応を画像化す
 る原理を発見しました。これにより侵襲なく乳児や小児でさえも脳機能を
 計測できるようになりました。その後、毛細血管内の酸素交換機能を計測
 する方法(脳酸素交換機能マッピング:COE)を完成しました。脳機能の
 診断は、fMRIなどの不確実な方法でしかアプロ-チできませんでしたが、
 COEにより個人の脳の酸素の使い方をモニタ-することで個人レベルの脳
 の精神活動を定量できる診断に飛躍しました。
  また、MRI画像を精密に検討した結果、過去から現在までの生活と思考によ
 り脳の形態が成長しながら決定されることがわかりました。さらに脳に正
 しく情報を与えるとこれまで考えられてきた以上に「脳の形が働きととも
 に変わり続ける」という事実を発見し、 MRI脳内ネットワ-ク活性画像法
 (MRIによる脳相診断法)を確立しました。
  この方法により一見、多くの脳機能を失ったようにみえる患者さんでさえ
 も残存している脳機能を診断し、適切なトレ-ニングを処方することが可能
 となりました。以来、20年以上にわたり障害者の脳のリハビリテ-ションに
 従事しています。
  加藤博士は小児のMRI画像の検討過程で、それまで原因不明とされてきた
 自閉症スペクトラム、学習障害、注意欠陥多動性障害などの発達障害の素因
 病巣をつきとめ、扁桃体と海馬の発達障害からその臨床症状の特徴を見出す
 ことに成功しました。この新しい疾患概念は海馬回旋遅滞症と命名されました。
 臨床心理発達検査では評価しえない高次発達障害の脳の形態的発達段階を
 評価し、脳を成長させるための 治療計画を立てることができます。日本で
 は2003年に第106回日本小児科学会(福岡)で発表しています。MRI診断は
 思考のプロセス、情報処理のプロセスを抽出することが可能なため、器質
 的異常のない健常者に対しても応用され、脳の機能を個性診断し、自分の
 人生を豊にするための正しい脳成長トレ-ニング法を提示することが可能
 になりました。

 4. MRIによる脳の形態診断とCOEの普及が社会にもたらす影響

 1) 福祉支援脳機能検査の普及
  これまで重度の障害者の臨床症状から得られる情報は評価者の五感で把握
 しうる範囲に限られていました。左右の視覚ルート、聴覚・言語ルート、
 運動ルート、情動・記憶ルート、感覚ルート、小脳と脳幹のルートの残存
 する機能を脳画像により読みとることで、どの脳機能ルートを選択して効
 果的に支援できるかを検討することで、精度の高いプログラムを作製する
 ことができます。さらにCOEにより酸素の使われ方を見ることで、脳機能ル
 ートの活性化を解析し、指導を受けている子どもの脳の状況をリアルタイ
 ムに理解できるので、障害児と支援者の両者がその場で教育効果を理解す
 るための強力な手段となりました。

 2) 教育支援現場での活用
  これまでは「脳のどの部分を鍛錬すべきか」「脳はどのように働いている
 か」「鍛錬した結果、脳に変化は見られたか」などを調べる客観的計測法
 が存在しませんでしたが、MRIによる脳機能ルートの診断により、「どこの
 脳機能ルートを使って支援すればより効果的か」「お互いの情報にどの程
 度一致点があるか」「獲得が難しそうなことはなにか」などについて教師
 と医師の対話ともいえるものが新たな局面を迎えています。
 学習効果が脳細胞の酸素の交換状態で定量診断できるので、有効で効率的
 な教育方法が検討さることになるでしょう。これまでに新しい能力を獲得
 するために膨大な数の教育~勉強方法が発表されてきましたが、MRIとCOE
 の検証によりあるものは科学的裏付けを得ても、またあるのもは実際には
 役に立たないものとして棄却されることになります。

 3) カウンセリングにおよぼす影響
  現代では自殺、引きこもり、不登校、依存症などが社会現象となっていま
 す。また、社会生活がうまくいかない子どもや成人に対して聞き手がその
 原因を聞き出し、世の中にうまく適応させることを最終目標にして心理療
 法、カウウンセリングが広く行われています。しかし、外からの価値体系
 に個人を適応させる治療には限界がありました。これらの手段が仮説の域
 を超えられない心理学にもとづき、科学的デ-タを提示できないという弱
 点を内在しているため、常にそれらの妥当性が問題とされてきました。
  それに対して脳の形態と酸素の使い方を観察することで科学的なデ-タ
 を提示しながら、健康な脳番地の成長を増進し、病的な脳番地を改善させる
 「脳を成長させる処方箋」を検討できる時代になりました。MRI、COEのよう
 な強い実証に依らないカウンセリングの領域では妥当性が問われ続けるこ
 とになります。特に、カウンセラ-側と受ける側の両者が共通の状況分析
 結果を持たなければ、受け手側の考えを時間を掛けて聞くという非客観的
 な視点への改革が問われてくるでしょう。これは、とりもなおさず、医療
 機関でのムンテラといわれる医師と患者とのコンセンサスの確立にも影響
 をすると考えられます。

 4)「健康寿命を延ばすアンチエイジング」から
          「個人の能力を伸ばすアンチエイジング」へ
  問題のある生活習慣からおこる病的老化を回避するためのアンチエンジン
 グという考え方が普及しています。脳の機能もまた健常に維持し、生涯に
 わたって成長させるためには脳に情報を入力させることが必要です。アン
 チエイジングに、脳をとりまく環境を整えることで老化を遅らせ、脳を生
 涯にわたって成長させていくという新しい視点が加わりました。従来は、
 個人に備わる能力が充分に発揮できなくなることで定年制度がしかれてき
 ました。しかし、個人の能力は中高年からでも成長するという新しい現実
 から、定年制度が脳の働きを弱めるきっかけになっていることが明らかに
 なっています。1度獲得された能力が一生涯、保証されない現実と、年を
 取っても脳を伸ばせる現実が、能力に対する新しい見方を生み出していく
 はずです。
  学業と能力、社会人としての能力、100歳まで生きるための能力など、
 能力に対する価値基準が変わりつつあります。つまり、脳の成長特性によって
 発揮出来る能力が異なるという新しい現実に向き合う必要が出てきました。
 脳から能力を高めることで脳のアンチエイジングを実現していく生き方が
 問われることになります。

 5) 脳データから問われる社会改革
  加藤博士が開発した検査方法の最大の特徴は個人の脳を無侵襲で、感度よ
 く検査できて過去、現在、未来の状態を表現できる科学的デ-タを提示で
 きることです。しかも脳に関する科学的デ-タを診断する側とされる側、
 教育・医療関係者と家族や当事者が共有できます。このようなエビデンス
 を構築できる脳の形態診断と機能診断は他にみあたりません。これまで脳
 機能に関連する多岐にわたる分野の事業の妥当性が検証され、脳機能を直
 接反映しない理論と方法にもとづく既成の検査、理論、産業は淘汰されて
 行くでしょう。個人の特性に合わせた脳機能の開発によりいっそう多様性
 のある社会を許容する方向に向かわざるを得なくなり思想にまで変化がお
 よぶ可能性を内在しています。脳科学におこったbreakthroughの影響は医
 学界のみにとどまらず、多くの関連する世界におよび、産業構造すら変化
 していくことが予想されます。

 ――出典―――――――――――――――――――――――――――――

 ※この内容は、12月11日に行われる
 「脳の健康医療セミナー2011」の下記の講演で紹介されます。

  II.脳の活性化の正しい捉え方と新しい活用法
     演題:脳機能NIRSのブレイクスルーが健康医療にもたらす意義
     講演:遠藤 明
    (えんどう桔梗こどもクリニック院長、昭和大学小児科兼任講師)
 ―――――――――――――――――――――――――――――――――

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2011年12月 5日 (月)

今世紀、なぜ脳科学なのか

人類の寿命は18世紀の産業革命以後に急速に延長し、
特に日本は半世紀前には考えられなかったような世界有数の長寿国になりました。

さらに現代では価値観、人生観が多様化して
人生の規範を自分の外側にではなく内側に求める必要性が増してきました。

このように多彩な価値観にみちた超高齢社会において満足できる一生をおくるために、
日常生活に不自由のない健康な身体を維持する方法、
いっそう自己実現をはかるために個別に特性を知り、
かつ生かす方法などが求められるようになりました。

特に自分の精神と行動の特徴を科学的にとらえ、
適切な方向づけが可能な方法論が希求されるに至ったことは
長寿社会における歴史的必然といえます。

遠藤明先生(医師・医学博士)の講義予定録から
詳細はここHPの掲載中です。

脳機能NIRS誕生20周年記念講演
脳の健康医療セミナー2011
脳機能NIRSのブレイクスルーが健康医療にもたらす意義

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