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2011年10月 4日 (火)

発達障害を引き起こすくも膜のう胞

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脳実質の表面は、外側から、硬膜、くも膜、軟膜と3層の膜に包まれています。

くも膜は、3層の膜の真ん中で、「くも膜下出血」という言葉でも、
よく知られています。
しかし、「くも膜のう胞」はそれほど、一般に知られてはいません。

脳のMRIが脳ドッグでも撮影され、子どもの
脳画像撮影も、MRIによって非侵襲になったことから、
「くも膜のう胞」の発見率が上昇してきました。

一般的には、1000人に一人ぐらいといわれているよう
ですが、Dr.KATOの経験では、200-300人に一人
ぐらいではないかと思います。

くも膜のう胞は、脳表面の凹凸が急に変わる部位に
できやすく、くも膜が二重になって袋状になったところに
髄液が貯留したものと考えられています。

ですから、側頭葉の先端部分や海馬の近くにできやすく、
大きさも2-3ミリのものから10センチほどのものまで
大小あります。

脳室には、もともと髄液が流れていますが、くも膜のう胞
は、多くの場合、脳室と交通性がなく、外側に向かって
液体内部の力が働くことになり、なかなか自然に小さく
なりません。

このくも膜のう胞は、発達障害を引き起こすことが、
一番問題だと考えてきました。

もちろん、全く影響があるように思われない
くも膜のう胞もあります。
近親の大人でもMRIを調べたら、たまたま、小脳に見つかった人も
数名います。

Dr.KATOは、くも膜のう胞がどのように発達障害を引き起こすのかを
研究してきました。

実際に、言語の発達が遅れた子どもの中には、左脳の言語中枢に接して
くも膜のう胞が出来ていた場合がありました

「くも膜のう胞」は、側頭葉の先端にできやすいので、
海馬とその周囲が圧迫され、変形しやすくなります。

くも膜のう胞は胎児期から出来ている場合が多く、この場合には、
回転して発育する海馬の成長を阻害する可能性が高くなります。

子どもの場合、左海馬の圧迫の方が、言語発達に影響して
右海馬の圧迫が症状が出にくいと考えてきましたが、
全くそんなことはありませんでした。

言葉の遅れはわかりやすいだけで、
右海馬の圧迫症状は、別な症状を呈します。
例えば、怒りやすいとか、罪悪の分別、ルールを守る意識など
社会生活では重要な機能を持っているようです。

怖いのは、「症状がない」と思い込むことです。
発達性脳病変は、未来に成長する可能性を削ぐことが
問題なのです。

「くも膜のう胞」は、良性の髄液の袋ですが、
脳の成長を妨げる上では進行性であり、
二次的な悪性症状を持つ場合があると考えても良いのではないでしょうか。

小さくて、影響の少ない場合もありますが、
「くも膜のう胞」は、予防的に取り除くことが
脳の枝ぶりには必要だという考えます。
脳の枝が思いっきり伸びるためのスペースの確保が
必要なのです。

特に、海馬や扁桃体を圧迫している場合は、
海馬回旋遅滞症を引き起こしているので、
二次的な合併症が発生しやすいと考えられます。

右脳であっても左脳であっても、
手術にリスクに十分配慮しながら、
脳の枝を外に向かって広げたい脳番地のために、
脳への重石を取り除いてあげたいものです。

●くも膜のう胞のMRI脳画像に関するブログ記事

海馬を圧迫するくも膜のう胞のMRI診断

Dr.加藤の発達障害の処方箋

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●「脳と発達」の詳細講演は、12月16日(日)東京・市ヶ谷

脳の健康医療セミナー2012 【研究報告のトピックス】
①深刻な社会人の発達障害を疑ったら、まず脳を見る

②MRIでみた発達障害の海馬と子どもの言葉の遅れ

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コメント

はじめまして、(中2男子です。)
私は、“クモ膜下のうほう”と、
“上衣下腫(良性)”と診断されました。
この二つの病気によって、何か悪いことがありますか?
(毎日、24時間ひどい頭痛とめまいがします。少し動いただけでかなり痛いです。)

(回答)大きさと程度によると思います。複数の専門家の意見を参考にしてください。毎日、24時間ひどい頭痛とめまいは、異常な症状です。

投稿: | 2017年2月20日 (月) 23:24

はじめまして。
クモ膜嚢胞と検索し、こちらのブログを見つけました。
高校生のときにクモ膜嚢胞が見つかり、現在でも年に一回ほど大学病院にてフォローアップを受けています。現在26歳です。

私は両側側頭葉に嚢胞があるようで、とくに痙攣発作が起きたこともなく、大学を卒業し仕事もしています。
脳の発達に(特に仕事柄、言語の発達)に興味がありまして。もしかしたら私も気づいていないだけで何かしらの障害があるのでは?また、側頭葉がない?分どこで言語中枢を補っているのか?と常々考えています。
今後研究される機会などありましたら、先生の発表を楽しみにしています。

乱文で申し訳ありません。

投稿: おーさん | 2016年10月 5日 (水) 22:44

はじめまして、くも膜のうほうと発達障害で検索して、こちらのブログを発見しました。現在24歳です。

私は4歳の頃、くも膜ノウホウと診断され、手術をされました。何でも、画像では脳の四分の一が隠れて見えなかったみたいです。

くも膜ノウホウの手術は成功し、通院も既に終わっているのですが、最近私は広はんせい発達障害と診断されました。また、テンカンらしきものも小さい頃から今まで、月一ぐらいであります。

発達障害も脳の先天的な器質が原因と聞いたことがありますが、関連はあるのでしょうか?

脳が原因の病気や障害がこんなにあると、偶然とは思い難いです。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*(お返事)具体的に、MRIの画像を見てないと何とも言えません。しかし、くも膜囊胞に接した脳の部位に変化が起こっているケースもあります。また、それが原因でてんかん発作もあり得るでしょうし、それが原因でなくとも、てんかんが起こることも想定はできます。一元的に考えるなら、まず、くも膜囊胞との関連性を考えることができます。

投稿: カゲロウ | 2012年8月23日 (木) 11:31

私は55歳の男性です。毎年の健康診断に加えて、今年
始めて頭部のMRIを行いました。そこで『貴方は先天的にのう胞が大きく現在50mm程度の大きさである。今後経過観察の必要があり大きく成る様であれば手術します。』と医師の判断を受けました。
食生活や日常の中で、大きくしない。また小さくする方法は無いのでしょうか?

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先天的にのう胞があった場合でも、全く問題なく経過している場合もあります。この点は、成人で発見・診断された場合に多いと思います。
脳のどの部位にのう胞があり、そののう胞によって、周囲の脳番地の成長がどのような影響を受けているかを見極める必要があります。
また、のう胞自体が、周囲の脳室と交通性があるかないか?(侵襲的CT検査で診断が可能です) のう胞内圧が高いかどうか?も問題になります。
のう胞が交通性のものであれば、内圧はそれほど高くないかもしれません。
普段の食生活との関係は不明です。
急激にのう胞が大きくなる可能性はゼロではないといいうことでしょうが、のう胞自体の進展、予後を予測するのは難しい点があります。
ただし、幼少より見つかったのう胞を観察していると周囲の脳番地の成長を阻害する様子とそれによる症状、学習面での問題は、ないがしろにすることができないと思います。
特に、医師が学習面の症状を検出するには1―2度の外来診察では難しく、実際症状があるのに「ない」とされやすいことも注意が必要です。

投稿: ヨシダシンゴ(仮名) | 2012年6月26日 (火) 18:40

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