MRI脳画像を用いた発達脳科学とは
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新しい分野が始まるとき、それがどんな分野でも最初の一歩は
とても華々しいものではありません。
小児科医として始まった1年後、千葉県鴨川市にある病院で立てた志は
脳を見る子どもの診療でした。
外見と診察だけでは、子どもの成長を見極める限界に気が付いた
からでした。高度な心理学をもってしても、それは、
子どもに適応する際には、かなりの不明確な想像が入るからです。
医者は、想像するために診療をしているわけではありません。
確実で決定的な医療情報が必要なのです。
そこで、MRI脳画像を介して子どもを診ることと、実際に自分の
目で子どもを診ることの2つを合わせて診療に用いることで、
一人一人の子どもの成長の実態により近づけることがわかりました。
これが、Dr.KatoがMRIを発達脳科学分野に取り入れた始まりです。
それから20年以上、修練を積んできました。
その後、NIRSを用いた脳血流機能計測法を発達脳科学に用いることにも
成功し、米国での研究生活では始まったばかりの
fMRIの可能性と限界をその原理から探究しましたが、
脳の形を診ない大脳生理学の研究は、全くの片手落ち以下でした。
生理学から脳の形は想像するしかありません。
子どもの成長を診る第一歩の脳科学技術は、MRI脳画像です。
ところで、発達脳科学を極めることはそう簡単ではありません。
脳の研究だけでは、極めることはできません。
臨床の現場で実際に子どもに接しなければ深まりません。
では、子どもと接すれば、極められるのでしょうか?
社会人として多くの人に接しなければ、人間の脳の成長は
極めることができません。
人の一生を脳の成長からとらえて、かつそれを社会に生かし、
一人一人の人生に役立てる作業、それが発達脳科学の本質と
思います。研究室にこもっているだけでは、
研究者自身がコミュニケーション能力を高めることはできません。
人間力を養い深めることでしか、発達脳科学は進んでいかないことに
気が付きます。
今週、ロスアンゼルスで、
脳はいくつになっても成長できる~MRI脳画像から見た日本人力~
と題して講演させていただきます。
LA Morning(FM106.3と、TJSの会員制ラジオSCA101.9の2局)で紹介された
インタビュー収録があります。無料ダウンロード
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