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2011年6月21日 (火)

MRI脳画像を用いた発達脳科学とは

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新しい分野が始まるとき、それがどんな分野でも最初の一歩は
とても華々しいものではありません。

小児科医として始まった1年後、千葉県鴨川市にある病院で立てた志は
脳を見る子どもの診療でした。

外見と診察だけでは、子どもの成長を見極める限界に気が付いた
からでした。高度な心理学をもってしても、それは、
子どもに適応する際には、かなりの不明確な想像が入るからです。

医者は、想像するために診療をしているわけではありません。
確実で決定的な医療情報が必要なのです。

そこで、MRI脳画像を介して子どもを診ることと、実際に自分の
目で子どもを診ることの2つを合わせて診療に用いることで、
一人一人の子どもの成長の実態により近づけることがわかりました。

これが、Dr.KatoがMRIを発達脳科学分野に取り入れた始まりです。

それから20年以上、修練を積んできました。

その後、NIRSを用いた脳血流機能計測法を発達脳科学に用いることにも
成功し、米国での研究生活では始まったばかりの
fMRIの可能性と限界をその原理から探究しましたが、
脳の形を診ない大脳生理学の研究は、全くの片手落ち以下でした。

生理学から脳の形は想像するしかありません。
子どもの成長を診る第一歩の脳科学技術は、MRI脳画像です。

ところで、発達脳科学を極めることはそう簡単ではありません。
脳の研究だけでは、極めることはできません。
臨床の現場で実際に子どもに接しなければ深まりません。

では、子どもと接すれば、極められるのでしょうか?
社会人として多くの人に接しなければ、人間の脳の成長は
極めることができません。

人の一生を脳の成長からとらえて、かつそれを社会に生かし、
一人一人の人生に役立てる作業、それが発達脳科学の本質と
思います。研究室にこもっているだけでは、
研究者自身がコミュニケーション能力を高めることはできません。

人間力を養い深めることでしか、発達脳科学は進んでいかないことに
気が付きます。

今週、ロスアンゼルスで、

脳はいくつになっても成長できる~MRI脳画像から見た日本人力~

と題して講演させていただきます。
LA Morning(FM106.3と、TJSの会員制ラジオSCA101.9の2局)で紹介された
インタビュー収録があります。
無料ダウンロード

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2011年6月 7日 (火)

「見えない自分」を探る

■■■ 見えない自分・見える自分 ■■■

 先日テレビのドキュメンタリーで、あるアンドロイドの
 研究が紹介されていました。そのアンドロイドは、
 研究をしている教授そっくりの姿をし、かつ仕草もそっくりに
 作られているそうです。

 ところが、周りの人はアンドロイドの癖がその教授そっくりだと
 言っていたそうですが、当の本人は納得いかなかったそうです。

 自分のことは案外、他人の方がよくわかっていることがあります。
 また一方で、他人には理解されない「自分」もいるはずです。

 それでは、自分も他人も気づかない「自分」は存在するの
 でしょうか。そして気づかれない「自分」はずっとわからない
 ままなのでしょうか。

 ■■■ 能力と「自分」 ■■■

 実は「自分」は「能力」と密接に関係しています。

 例えば、あの人は速く走れる、この人はスピーチが得意、
 などのように、見て分かり易いものなら、それは自他共に
 気づかれている能力といえるでしょう。

 私は足が速い、私は話すのが得意、などと言う事が出来るように
 能力は自分の存在に直結するのです。

 しかし、人が持つ能力は他人からわかりやすいものばかりでは
 ありませんし、本人もそれを「能力」と認識していなければ
 自覚されることもないでしょう。

 それなら仮に、自他ともに気づかれていなかった「能力」が
 わかれば、自分や他人の存在自体が変わる可能性が
 あるのではないでしょうか。

 厳密には、存在自体は変わることは無いでしょうが、
 その存在の認識のされ方が変わるはずです。

 自分の能力に気付く方法、その一つの方法は、自分の得意な
 脳番地を知る事です。得意な脳番地は知らず知らずのうちに
 使っているので別段に意識されること少ないでしょう。

 しかしその番地を頻繁に使うので、その脳番地はさらに成長し、
 他人には真似できない能力が発揮できている可能性があるからです。 

 皆様も見えない能力を見つけることで、新しい自分を
 発掘してみてはいかがでしょうか。

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