脳の底力を持続させる脳番地シフト
60秒の脳科学~脳番地のトリセツ(取扱説明書)~ 第47号より抜粋
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1 今日のトリセツ ~脳の底力を持続させる脳番地シフト~
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頭の中で色々な仕事を分担している脳番地は、死ぬまで変化を続けます。
脳番地が成長する一生を知り、番地ごとの使い方や休ませ方を知れば、
あなたもきっと、自分の脳番地をもっと有効に活用することができます。
20代から100歳の大人に送る脳番地の取扱説明書をお届けします。
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┃今日の脳番地トリセツ
■■■ 被災地の一日も早い復興をお祈りいたします ■■■
日本中を震撼させた東日本大震災。
今も安心して眠ることのできない日々を送っている方が
たくさんいらっしゃいます。明日がどうなるかもわからない不安を
耐え抜いている方もいらっしゃるでしょう。
被災地の一日でも早い復興、そして安心して暮らせる
日々が早く来ることを願ってやみません。
■■■ 脳が底力を発揮するとき ■■■
今回の震災は、日本の国、そして私たち一人一人の底力が
試されていると誰もが感じているはずです。
今回の大震災の発端となった、マグニチュード9.0の地震は、
多くの専門家にとって想定外の津波を引き起こす程の規模でした。
想定外の事態に直面した際、私たちがうろたえて思考停止に
陥るか、踏ん張って考え抜けるかは、ひとえに脳の神経細胞が
酸素を使って、うまく働くか否かにかかっていると言えるでしょう。
想定内の事態に対しては、シュミレーションを繰り返し、
訓練を重ねて、対応できるようにしていたり、心の準備が
できているのが一般的です。つまり脳のネットワークが
発達しているといえるでしょう。
ぐらっときたら火の始末をし、逃げ道の確保ができるのは、
そう訓練されているからです。
想定外の事態とは、前もって準備していないので、
脳にもネットワークが構築されていません。
私たちがまったく使ってこなかった
脳番地の思考ルートを使わざるを得ない事態のことです。
ところが、誰もが初めからスケートができないのと同じように、
使ったことの無い脳番地のルートを使って考えるのは大変難しいのです。
うまく脳番地を使えないとき、神経は酸素をうまく使えない状態に
あります。そのため神経にとって苦しい状態が続きます。
その時、踏ん張って酸素を使い続けられるか、酸素を使うのをやめて
思考停止になるかの分かれ道になります。
筋肉を極限まで鍛えたトップアスリートが、ゴールの手前で
ラストスパートをかけられるか、失速するかは
脳が酸素を最後まで使いきれているかにも関係があるそうです。
このように、想定外の事態が続くことは、使っていない脳番地を
長時間使えるかどうかにかかっています。しかし、脳のネットワークが
発達し、神経が酸素をうまく使えるようになるには、
最低でも数か月という長い時間がかかることが一般的です。
それまでの間、過負荷のかかっている脳番地を適度に休ませ、
ストレスで脳が機能低下を起こして、ダウンしないように
することが非常に大切になってきます。
■■■ 底力を持続させる脳番地シフト ■■■
睡眠以外で脳番地を休ませる方法、それは脳番地シフトです。
それまで酷使していた脳番地から、使い慣れた脳番地、もしくは
それまで休ませていた脳番地に活動をシフトすることです。
例えば、狭い空間で長時間多くの人と一緒にいる方は、
少しだけでも広い場所にいってみたり、
独りになる時間を大切にすること。
情報収集、状況把握に没頭していた方は、頭がパンクする前に
音楽を聞いたり、簡単なゲームなどをして脳をリラックス
させること。
重要な判断を次々と下さなければならない方は、
意識的に他人と世間話をする時間を設けることで、
気分転換をはかり判断力を維持することができるはずです。
苦しい時の神頼みとも言いますが、
神社に参拝するのは本来、神様に日ごろの感謝を述べること
だとも言います。
また、Dr.KATOは、世界でも類の無い脳を日本人が育ててきた
一つの要因は、この「感じて謝する心」だと言います。
被災された方が口々におっしゃっている、生きていることに
感謝する、という言葉。私たちもあらためてこの震災を生き延びたことに
感謝をし、想定外の事態を乗り切っていくことで、
日本をさらに元気にさせていこうではありませんか。
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┃脳番地の取扱いキーワード
『底力が必要なときこそ、脳番地シフトで乗り切る』