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2009年1月30日 (金)

あなたの脳がいくつになっても成長するための脳ハウ

---------------わたしの脳科学の事始-------------------

昨今では、脳トレや脳科学という言葉に代表されるように
「脳○○」や「○○脳」という文字を巷で頻繁に見聞きするようになりました。

このような脳ブームの背景には、
自分自身の「脳」を知りたいという大衆の強いニーズがあります。

従来、脳学者は、ヒトの脳に共通する知識を得ようと研究を進めてきました。

動物を使った脳の研究者らは、いずれヒトの脳に役立つという側面を持った名目で、
脳研究を進めてきました。

ところが、このような脳学者らの悠長な研究プロセスとは裏腹に、

大衆の脳への願望は、急速に「ヒトからひとの脳へ」と進んでいます。

「ヒトからひとの脳へ」とは、サルより進化していると考えられている人類として
ヒトの脳の話ではなく、個人の脳、さらに可能なら自分の脳のことを知って、
できる限りのことを自分の脳に施したいと考える潮流があります。

脳リサーチフォーラム2009(2009.2.28~3.1)では、

あなたの脳がいくつになっても成長するための脳ハウを

専門家に語っていただきます。

あなたの「こころ」と「脳」の成長に挑みます。

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2009年1月19日 (月)

脳死とはなにか

脳に効くメルマガ 第34号】より

 
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【1】今日のお薦め ~脳死とはなにか~
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【2】Dr.KATOのオフィシャル活動予定
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【3】お知らせ
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【4】Dr.Katoの先週のエピソード
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 1  今日のお薦め
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 「脳の本がありあすぎて、どれを読んだらいいのか分からない」
 「○○脳って、最近よく聞くけど、そもそも本当なの?」
 皆様からお寄せいただく、そんな疑問にお答えします。

 話題の脳グッズや新著のご紹介や、名著と言われる書籍のご紹介に加え、
 Dr.KATOからのコメントを掲載いたします。

 本当の「脳」サイエンスの視点から、
 皆様の生活に役立つ情報を、社会から抽出することを目指します。
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              今日のお薦め
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             脳死とはなにか
         ~基本的な理解を深めるために~
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            著者:竹内 一夫
            出版:ブルーバックス(1987)
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 今日ご紹介する本は、「脳死」について
 日本の診断基準の確立に携わった医師の分かりやすい解説本です。

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 はじめに
 第1章 人の死と脳の死
 第2章 脳死はどのようにして発生するのか
 第3章 脳死状態の脳はどうなるのか
 第4章 なぜ今、脳死が問題なのか
 第5章 脳死はどのくらい発生するか
 第6章 脳死をどう判定するか
 第7章 国による判定基準のちがい
 第8章 蘇生術に限界はあるか
 第9章 脳死と個体死を考える
 第10章 脳死とは植物人間はどう違うか
 おわりに

 
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┃脳に効くポイント
 
 1967年、南アフリカで世界ではじめて行われた心臓移植手術によって、
 「脳死」についての関心が一気に高まりました。

 臓器提供者として、脳死患者を認めるかどうか・・・。
 この問題が急激に浮上したからです。

 死の判定は医者によって行われますが、脳死判定もまた医師によって
 行われる必要があり、我が国の脳死判定基準の作成に携わった著者は、
 脳死が誤って診断されたり、また一般人に誤解される危惧を抱いています。

 脳死とは、「生きた体に死んだ脳」と表現されるように、
 大脳・小脳・脳幹など、すべての脳の活動が停止し、自発呼吸もできない
 状態でありながら、心停止には至っていない段階です。

 脳死となれば、90%が約2週間以内に心停止に至ることから、
 不可逆性、つまり“もう戻らない”ということが脳死の条件になります。

 一方、「植物状態」という状態は、一般的に脳死と混同されて使用される
 誤った理解を招いているようですが、脳死とはまったく違った状態です。

 植物状態は、昏睡(こんすい)状態で、つまり大脳は活動していないが、
 呼吸や反射を司る脳幹は生きているので、自発呼吸や反射も見られる状態を
 指します。脳死とは違い、人工呼吸器がなくても長年、生き続けることが
 できます。植物状態は、復活することもあり得るので、脳死とはまったく
 違う状態であると考えられています。

 著者は、医師は「生」を支える職業でありながら、
 死の判定を行わなければならない役目を重く受け止め、
 万が一にも、間違って脳死判定をすれば、延命措置によって、
 もっと生きられたかもしれない患者を、臓器提供者にしてしまうことの
 危険を回避するためにも、脳死判定基準の作成に携わりました。
 
 脳が死ぬとはどういうことなのか考えたい人にお薦めの一冊です。

 
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┃Dr.KATOに聞く!

 私が医者になって初めて書いた論文は脳死の論文です。
 人の生を預かる医者として、最も対極にある「死」をどのように扱うか
 というスタンスがなければ、ここまでやってこれたかどうかは
 分かりません。

 脳死の判定は、この本に書かれているように、非常に難しいものです。
 心臓が動いている中で、脳が絶対に「復活しない」ということを
 証明しなければ、脳死判定をすることはできません。

 脳死は、主に昏睡状態に加え、無呼吸と無反射によって確かめられます。
 脳を測定して直接得た所見から脳死を判定するということには
 なっていません。

 つまり、あるはずの活動が「ない」ことを確かめるだけです。
 脳波なども活動がないことを確かめるための補助検査でしかありません。
 
 子どもは成人とは少し違った脳死の経過をたどることから、
 著者が定めた診断基準からは、6歳までの子どもは脳死判定から除外
 されています。それだけ、子どもの脳死判定は難しいと言うことです。

 私は小児科医でしたし、子どもの脳死というものに向き合わざるを
 得ませんでした。それなら「ない」兆候を確かめるだけでなく、
 脳死なら「ある」という所見を見つけることで、違った捉え方ができる
 のではないかと考えて書いたのが、その論文でした。

 医師として、生きるということを「死」から始まり、
「脳死」「植物状態の存在の有無」「高次脳機能の可能性」
 という順序で追求してきました。

 それから長い月日を得て、今度は脳の活動を、最もその根源とも言える
 「脳が酸素を使っている」ことを観察するCOEという技術の原理を
 発見しました。

 そこで目の当たりにした事実は、「植物状態はいない」という事実です。
 MRIをみても、大脳のすべてを失っているケースとはまだ
 出会っていません。必ずどこかが残っています。

 その場所をCOEで確かめると、確かにその場所が酸素を使っているのです。
 外界にそれを伝えられないだけで、音が聞こえているか、光を受け取って
 いるか、体の感覚が残っていたり、中には言葉を理解したり、
 前頭葉が活動している例を多く見てきました。

 植物状態と思えば、周りの人が積極的に本人に働きかける意欲を
 失いがちです。でも言葉を聞いているという事実が分かれば
 周りが積極的に話しかけ始めるのです。

 脳に情報が入れば、脳は成長します。
 脳の死は事実としてありますが、
 脳は生きていれば酸素を使って成長し続けることも、また事実です。

 このような事実が、医療や教育界で常識になれば
 最期まで脳を使って積極的に生きることができる社会になると信じています。

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