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2008年8月 4日 (月)

脳に効くポイント

━第10号━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━2008/08/04━
 
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 60 秒 で 解 説 !                    
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 本 当 に 脳 に 効 く 本 と グ ッ ズ の 選 び 方
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         発行元:株式会社脳の学校 http://www.nonogakko.com
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 1  今日の一冊 ~脳を鍛える大人の落語~
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 「脳の本がありあすぎて、どれを読んだらいいのか分からない」
 「○○脳って、最近よく聞くけど、そもそも本当なの?」
 皆様からお寄せいただく、そんな疑問にお答えします。

 話題の脳グッズや新著のご紹介や、名著と言われる書籍のご紹介に加え、
 Dr.KATOからのコメントを掲載いたします。

 本当の「脳」サイエンスの視点から、
 皆様の生活に役立つ情報だけを、社会から抽出することを目指します。
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              今日の一冊
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           脳を鍛える大人の落語
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           著者:中島英雄
           出版:きこ出版(2005)
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 本日ご紹介する書籍は、読み物としてのお薦めではなく、
 脳を鍛えるグッズとしてご紹介したい。

 本日ご紹介する脳のトレーニングは、
 おそらく本書の著者が想定していなかった目的と方法なのですが、
 健康な大人に九九をやらせるようなレベルのドリル本とは
 まったくトレーニングの質が違う。

 伝統文化としての落語は、いくら「笑い」だからと言っても、
 漫才やコントと比べると、やはり格式が高いような気がするものである。

 著者は、脳外科医でもあり、実際に桂文治氏に師事して
 修行を積んだホンモノである。 

 著者は笑いが健康にいいのではないかと、病院で寄席を開いている。
 その効能として、免疫効果、脳内麻薬効果、運動効果を挙げている。
 
 笑いと健康の関係は、これまでにも科学的な研究の対象として
 扱われてきた領域である。
 テレビの健康番組でも、笑うだけでもっと健康になれると
 聞いたことがある人も多いのではないだろうか。

 著者も、病気を直接治すことができなくても、笑いが健康を増進する
 手助けになると考えて、落語を患者に聞かせているようである。
 
 落語CDが付属され、その落語がすべて文字に起こされている
 本書の目的は、落語を聞いて笑うことで脳を活性化するということ。
 確かに、著者が勤務する脳梗塞患者の脳には、
 笑いの生理効果が十分脳に刺激となるだろう。
 
 「笑いは健康にいい」ことと、「脳を鍛える」ということは少し違う。
 健康な大人の脳が、落語を聞いて笑うだけで、
 めきめきと脳の枝ぶり(白質)が伸びるということは若干考えにくい。

 そこで今日は、落語を使って、確実に脳の枝ぶりにまで効果を及ぼす
 脳番地の使い方をご紹介しよう。

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┃脳に効くポイント
 
 本書には、
 「目を使う笑いより、耳を使う笑いが脳が活発にはたらく」という
 記述があるが、それは科学的には決定論ではないと言った方がいいだろう。
 もしも著者が何かの文献を参考にしているとしても、
 決定的な笑いの原理かと考えれば、それは時と場合によるだろう。

 しかし本書にもあるとおり、
 ・落語は聴覚を通じた笑いであること
 ・落語は言葉を理解しなければ笑えないということ
 ・落語の笑いには単語だけでなく、長いストーリーの理解を要すること
 ・つまり落語は高次な笑いの要素を持っていること
 などは納得できるところである。

 本日ご紹介するトレーニングは、笑いは横に置いておくことにして、
 落語の特徴でもある「聴覚と言語」の強烈な脳番地トレーニング法である。

 例えば次のような人にお薦めである。
 ・人の話を聞いて作業をするような仕事の人で、スキルアップしたい人
 ・人の話を理解するのは得意なのに、話をするのが苦手な人
 ・聴覚の記憶が昔から苦手な人
 ・視覚的な仕事ばかりしていて、記憶力低下が気になる人

 逆に以下のような人は、このトレーニングは、
 酸素ストレスが強くかかるので、向かない場合がある。
 ・普段から、話を聞いて文字起こしをするような作業が多く、
  聞きながら言語作業を行うことに極度に疲れている人

 トレーニングはいたって簡単です。
 1.本書のCDに収録されている噺を聞きます。
   メモをとらずに聞いてみましょう。
 2.聞き終わったら、最初から思い出しながら紙に書いてみましょう。
   パソコンでタイピングしてもかまいません。
 3.話をするスキルをアップさせたい人は、自分の書き起こし落語を
   見ながら、実際にしゃべってみてください。
 4.本書には、落語が文字で書き起こされていますので、
   答え合わせをしてみてください。
 5.最初は落語の半分も書き起こせれば十分です。
   もう一度CDを聞いて、書き落とした箇所を書き足していき、
   1~4を繰り返して何度も聞いて完成させましょう。

 ではこのトレーニングで、脳番地のどこがどのように鍛えられるのか、
 トレーニング根拠も合わせて、Dr.KATOに解説してもらおう。

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┃Dr.KATOに聞く!

 世の中には、あやしげな脳ドリルをやらなくても、
 脳を育てるための教材が溢れています。
 日本文化が培ってきた落語もその1つと言えるでしょう。

 私は子どもの頃から耳からの刺激を記憶したり理解するのが極端に苦手で、
 何十分もの話を覚えて人前で披露するなんて、
 考えただけでも、それこそ笑いがこみ上げてくる程、信じられない芸当です。

 そんな中、昨年、落語家の脳を診る機会がありました。
 名前は出せませんが、活躍中の正真正銘の落語家です。

 彼のMRIを診てみると、私は非常に驚きました。
 その鑑定のごく一部は「脳は自分で育てられる」に収録しましたので
 詳しくはそちらを読んでいただけると分かると思いますが、
 「なるほど、これが落語家の脳なのか!」とガテンしました。

 落語家だから、しゃべり系脳番地が極端に発達しているのかと思いきや、
 聴覚野と言語理解系の言語野をつなぐ枝ぶりが
 それはもうでっぷりと、筋肉状態になっていました。

 これは落語家になる過程での修行のやり方に
 何か原因があるに違いないと気がつき、ご本人に聞いてみました。

 すると、師匠とひざを付き合わせて、話を1回聞く、もちろん、
 メモなど取れるわけではない。
 それを覚えて帰り、家で必死で話を一語一句正確に書き起こす。
 
 それを自分で話してみる。
 20分の話のはずが、10分しかない。
 そしてまた作業を繰り返して話を完成させていくんだ、と。

 聴覚記憶と再生が極端に苦手な私にとっては驚愕の修行ですが、
 しかしこのトレーニングによって、その落語家の脳は、
 見事な枝ぶりを育て上げていたのです。

 今日ご紹介したトレーニングは一例です。
 ご自分の力量に合わせて、工夫して負荷に強弱をつけて
 自由に楽しくやってみてください。
 
 ご自分の聴覚・言語理解ルートの枝ぶりの育ち具合と、
 脳番地が酸素をせっせせっせと使うのが分かると思います。

 人は皆、自分の持てる脳の長所を生かして、
 社会に参加しているのでしょう。
 落語家もまたその一つ。
 脳外科と落語家を両立する著者もまた一つ。

 皆さんも自分を発揮する脳番地と枝ぶりを自覚できると
 自信を持って、仕事に取りくんだり、生活することが
 できるようになるでしょう。

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      『真剣に脳を学ぶ人の週刊サイエンス・レビュー』    
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  取り入れようと思っている方が、巷の脳科学ではなく、アカデミック
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  ※いずれのマガジンも、脳の学校からの自社配信と、
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