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2006年11月16日 (木)

非侵襲脳機能イメージングの祖師

今週の社長のひとこと--------------------------------------------------------------------------------------

 

どのようなサイエンスであっても、その可能性は、そのサイエンスを扱う科学者の手に

依存して、衰退、あるいは進展していくことは数々の歴史が教えているごとくである。

 

その歴史の中で光で脳計測を志す者がいたならば、唯一知らなければならない人物
それが、フランツ・ガル医師である。

   

ガル医師は、大脳機能局在論の第一発見者であり、提唱者である。
ガル医師と光脳機能計測の関係を論じてみたい。

   

非難と圧力に屈せず「大脳機能局在論」を後世に残したガル医師は、
頭皮上から脳機能局在を想定していました。
頭蓋骨上から「脳番地
TM」を区分した写真が残っています。
当時に時代背景の中で、最大限の選択として大脳機能局在論を骨相学として表現

しようと試みたのです。

   

ガル医師こそが、「非侵襲脳機能イメージングの祖」だと気がつきます。
祖師の時代には、MRIもなく、近赤外光を利用できる背景もなかったので、
人々は、第1発見者の慧眼を理解できなかったのです。
   
しかし、現代は、違います。モーツァルトの死後200年、ガル医師の死後163年の長い

潜伏期を経て、1991年「脳番地TM」に光をさす技術が結実しました。ガル医師の

意志は時を越え、光脳機能計測法となって実現し始めました。

発見は、時に使命を持って、降臨したかのように見えます。
しかし、光と脳計測の展開は、現在までに3期に分けて考えることができます。

  

I)潜伏期: キーワードは、脳
ガル医師から~1980年代の潜伏期では、大脳機能局在論は確実に脳を支配している

ことが分った。NIRSの挑戦としてJobsisは、脳計測を開始した。直進、散乱、拡散光に

よる安静時の脳Hb分布、光CTの試み、脳と筋肉のHb動態観察の試みがあった。

日本独自のNIRS市販機の開発販売も忘れてはならない。

 
このNIRSの挑戦期が生み出した最大の疑問は、光が脳に届くというだけでなく
「本当に光で頭皮から脳実質が計測できるのか?」という単純な問題でした。

 

II)黎明期: キーワードは、ヘモグロビン
潜伏期に終止符を打ち1991年から始まる黎明期は、Katoらによって
「頭皮から光で脳実質機能が他の脳番地と区別して計測できる実証」から始まった。
実証には、脳番地の17番地(視覚野)と10番地(前頭前野)が使われた。
 
受光と発光プローブのペアによって、光機能画素の定義が可能であると分ったので

ある。こうして、潜伏期の重大な問題は、脳機能局在を頭皮上から光で検出すること

で解消された。
   

一言で、「脳番地TM」に光をさす計測法が誕生したのである。

この光脳番地機能計測法は、大脳機能局在論が正しくなければ、成立しない。
同時に、潜伏期研究の方向性に間違いがなかったことを示した。

その後、「脳番地
TM」の脳機能局在を頭皮上から区別する試みが再び盛んになった。
光によって頭皮上から電気信号の検出を試みるEROS計測、光機能画素の数を増や

した計測、活脳図として表示する試みがそれである。

一方、MRIで精度の高い脳写真が得られることを前提に、
NIRSをとりまく他の脳計測手法もさかんに実践された10年間でした。

研究者の多いPETやfMRIといった脳の深部反応も活脳図として表示できる手法は、
すぐに、本当にその計測原理が、脳機能を反映しているのか?という疑問にいたった。

そして他分野からは、研究成果の縦のつながりが見えず消極的な評価で、

疑問視され始めた。NIRSによるデータも活脳図も、技術の不完全さと

生理的機序の不透明さからごみの吹き溜まりの感は否めなかった。

 
局所ヘモグロビン変化の機序への疑問は、光機能画素を定義できた第一発見の段階

必然的に出現した。
 
この問題は、基礎研究でも解決できないまま、血液を利用した脳機能計測分野全体

が、不完全な科学基盤の上に、計測装置や解析ソフトを商品化し、

大量の追試できない論文を並列する状況になった。
 
このNIRSの黎明期が生み出した最大の疑問は、

「なぜ、どのように局所ヘモグロビンが変動するのか?」という単純な問題でした。

   

III) 進展期: キーワードは、酸素(オキシジェン)
黎明期に終止符を打ち2001年から始まる進展期は、Katoによる
「毛細血管内の酸素交換とともに、どのように局所ヘモグロビンが
調節されているのかを示した酸素交換波動方程式の発見」から再び始まることに

なった。
   
脳機能計測の観点が、「ヘモグロビン(Hb)計測から酸素(O
2)計測へ」シフトした。
 

実際に21世紀に入り、脳酸素消費と神経活動の直接的な関連性を示す動物脳での

報告も相次いでいる。Hb量を変化させる目的で、血流が変動しているのではなく、

細胞で酸素が消費されるために、Hbや血流が二次的に変化する生体酸素力学が

展開していることが定式化された。

従来のPET, fMRI、NIRSはすべて、脳血流(CBF)に依存してきた。
 
しかし、COE(脳の酸素交換、Cerebral Oxygen Exchange)に依存してCBFが変動する

と分った。脳機能の指標が、ヘモグロビンから酸素へ、T2*(BOLD)から酸素へ、
RI変化から酸素へと向けられることになった。
 
BOLD-fMRIは、静脈性下水道効果強調画像法であると判明した。
PET、NIRSによる活脳図は、下水道効果そのものであると分ってきた。
 
そして、NIRSだけがCOEを抽出し計測するに適した方法であることが分った。
  
COE方程式は、脳計測の枠組みを超えて、生物が生きるために、
どのような数式に支配されているか?という疑問に一つの答えを示す
「生体酸素力学方程式の誕生」を意味する。
 

生物の酸素を支配する方程式から、宇宙物理学と量子力学が扱うスケールの

中間接点に、生命が存在していると分る。
 

さらに、生命が、実数と虚数の2次元支配を受けている事実を数学的に

垣間見ることができる。

   

進展期に入り下水道効果を使って脳教育や脳鍛錬を叫んでも、
脳外反応を用いた脳論を展開している滑稽さが明確になっている。
この滑稽さは、黎明期にはなかったので、十分な進歩と感じられる。

   

総じて、脳機能研究が、研究者のための研究にならないようわが身を
省みることが必要な段階である。

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脳計測体験してみませんか http://www.nonogakko.com/seminar2006.11.html

COEと下水道効果について http://www.katobrain.com/profile/coe.html

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